『焚火の終わり』 宮本 輝 [本]
夏に買ったものを今頃読み終わり。
本文より
「あっても、質が違う。しつこく寂しがったり、愛情やセックスの権利を主張したり、ヒステリックに泣き叫んだりはせん。もうそれだけで充分にありがたいよ」
「その人、相手の男性に、よくこう質問したんやて。私の心と体とどっちが好きかって。男の人は、その質問に関してだけは、黙秘権を行使しつづけたそうよ。別れて二年ほどして河原町でばったり逢うて、喫茶店で一緒にコーヒーを飲んだとき、どうしてあの質問にだけは口をつぐんで答えなかったのかって訊いたら、男の人は『心が好きだと答えるのは、どこかに欺瞞があるし、体が好きだと答えたら、自分たちの関係は体だけなのかと傷つけるような気がした。しかも、きみは、心と体とどっちもが好きだという答えを求めてはいなかったから』って言ったんやて。彼女は、『私、体が好きだって言ってもらいたかったのに』って寂しそうに笑ってた」
ほら、読んでみたくなりません?
実は宮本輝の大ファンです。
文庫本は発売と同時に買っています。
でも何故か「優駿」だけは読んでいません。
自分でも理由はよくわかりませんが…
by michi (2010-01-31 16:03)
■michiさん、こんばんは。
宮本輝さんはこの年(?)になってからようやく手を出しました。といっても、まだ2冊しか読んでいません。どちらの作品も、実は業の深い聡明な女性が主人公で、読後はどっぷりと余韻に浸りました。
自分のお気に入りが、あまりにも話題に上ったり、皆が飛びついたりすると、ついつい避けてしまうことがあったりしませんか?
by おごんち (2010-02-01 23:08)
そうですね。
確か「テルニスト」という宮本輝のファンクラブのサイトがありました。ちょっと覗いてみたのですが「何もそこまで…」って感じでした。
その作品を読んで、自分なりに素直に感動するだけで十分だと思います。そこに理屈は要らないんじゃないかと…。
一番最初に読んだのは「泥の河」でした。(これは映画もよかった)
あと「錦繍」、「避暑地の猫」も好きですね。
まあ、宮本輝は全部好きなので甲乙付け難いですけど。
by michi (2010-02-02 08:12)
■michiさん
「全部好き」と言える作家に出会えたのは素晴らしいことだと思います。
『泥の河』『錦繍』『避暑地の猫』。どっかに記憶しておきます。宮本作品は、きっと年に1~2冊読むんじゃないかなあ、多分。夏の100冊、とかそういうキャンペーンに弱いですので、それにセレクトされたら間違いなく買うでしょう。(読むのは後回しかも)
by おごんち (2010-02-02 23:03)