『ブラックボックス』 篠田 節子 [読んだ本]
次男の学校の図書館から借りて読みました。
ブラックボックスとは無菌無農薬の野菜工場を意味しています。栄養から空調、光まで人工的に管理されて栽培するというプラントは、親の代の農業から脱却する輝かしい未来のはずでした。しかし、従業員の癌や奇形児の出産、有毒のザリガニの出現、学校給食を食べる子供たちのアレルギーなど、静かに住民を蝕んでいくように見えます。残留農薬のような有毒物質や食中毒をおこす原因菌も見つからないまま、プラントは拡大していきます。安全安心なはずの食品が不気味に地域を汚染していきます。
野菜工場の描写は桐野夏生の『OUT』をちょっと思い出します。
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