『無伴奏』 小池真理子 [本]
舞台は1960年代の仙台です。
作品の空気感のようなものを、匂いまで感じることができるかどうかは、街を知っているかどうかで大きく変ってくるのではないかと思います。この作品に限らず、舞台となる地を理解しているかどうかで味わいの深さが違います。
ストーリーよりも街の匂いの記憶にむせました。実際に北山の近くの寺の離れに住んでいたのは、誰だったか。大学のとある部屋の印刷機とか。和菓子屋さんとか。記憶の底にあるものが浮かんできそうでした。
ここを舞台に選んだ作者の目論見にまんまと嵌ってしまったようです。残念ながら時代が大分違います。60年代に学生だったなら、時代の放つ匂いも思い出して感慨に浸れることでしょう。
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